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よりそうということ

izugaeruさんのコメントのおかげで,このblogのメインテーマを思い出したおいらですこばわ。

テーマは何か?
 雑 食 です。

さて,先月あたりから,この本を読んでるわけですが。

心理臨床という営み―生きるということと病むということ心理臨床という営み―生きるということと病むということ
村瀬 嘉代子 滝川 一廣 青木 省三

金剛出版 2006-07
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そいでもって,先日の上京の時に,行きの飛行機の中でこれを読みきってしまったわけですが。

子どもの心と自然子どもの心と自然
山中 康裕

東方出版 2006-07
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山中先生…「カ“ワ”ンセラー」ですか…( ´_ゝ`)
というツッコミでははなくて,今回は,この,日本を代表する二人のセラピストを通しての,よりそいかたの話です。

著作を読む限り,おいらが言うまでもなく,お二人とも,ナチュラル・ボーン・セラピストですよねー。

とにかく,クライエントの世界をのぞき見るために,クライエントの世界によりそうために,利用できるものはなんでも利用する。
この,利用の幅が半端ではなく広いわけですよ,お二人とも。
そしてそれを,「共感」と言う言葉で表現しているんですが。
そこが問題だと思うのです。

「人間性」を必要以上に強調する方々は,たやすく「共感」「共感」と言いますし,この方々も著作の中で,「共感」の大切さを繰り返し強調しているのですが。
以前から,前者の言う「共感」と,お二方の言う「共感」は,言葉は同じでも,内容は天と地ほどに違う気がしてるんです。


ちゅーことで,さくっと言い切ってしまいましょうか。

お二方の「共感」は,そんじょそこらの「共感」ではない。
そんな生半可なものでは,断じてない。


研究にしろ臨床にしろ,研究協力者の,あるいはクライエントの見ている風景をどれだけ共有できるのか,ということが,その成否に関わる大きなファクターだと,おいら自身は思っています。
どれだけ相手によりそえるか,というのが大問題であると。
んで今までおいら自身は,それの能力は―あるいはよりそいかたの習得は,努力で何とかなると思ってた節もあるですよ。

しかしですね。上記の村瀬先生のご本に,先生ご自身のこんな少女期のエピソードが紹介されてるですよ。

淡いピンク色をした兎の毛のコートを着た先生は,夜行寝台で帰る祖父を見送るために,母親と共にプラットホームにいました。見送りが終わり帰路につこうとした時,すぐそばにいた同年代の女の子が,連れの祖父らしき人に強い口調で叱られて泣いていることに気づきます。
女の子は,自分もあんなのを着たいと泣いているのです。家に帰った村瀬先生は,自分のコートを見て強い悲しみがこみ上げてきた,と言います。
そして,このコートは再び着ない,と母親に告げます。先生の母親もその意味を感じ取っていた。反対することなく,本人の意思に任せたのです。(神庭,2006)



後頭部を思いっきり殴られた感じです。がつーんと。

と,同時に,宮沢賢治のエピソードを思い出したりして。
やはり少年時代の賢治が,たっぷり水を張ったお茶碗を持たされ,廊下に立たされている級友があまりにもつらそうで,
「そのお水を飲んでしまいなよ」
というけれども,その子は飲めるはずもなく,賢治はやおらそのちゃわんをとって,水を飲み干してしまい,結局,賢治とその子は一緒に先生に叱られた,という…。
叱られたのがその子の代わりに,ではなく,一緒に,というのがなんとも賢治らしいのですが。

何というか,村瀬先生のエピソードは多分に「心理」的で,賢治の話は「福祉」的だなあと思うわけですが,それはまた別の話。

っと,閑話休題。
村瀬先生のエピソードを読んで後頭部にがつーんと来たのはですね,ああ,見ないふりをしてきたけれども,スタートラインからの違いというのは,やっぱり歴然としてあるのだなあと。
しかし,これを手軽に手狭な「共感能力」の「高低」という言葉でくくってしまうのも違う気がするし,それ以上にもったいない。
これはもう,世界観とか人間観とか人としての品位とか,そういうものまですべて入れ込んだ上での「よりそいかた」の在りようとしか言い様がないような。

山中先生にしても村瀬先生にしても,ひとがひとに「よりそう」とはどういうことかを,体現していらっしゃるから,偉大なのだなあと。

「よりそうとはどういうことか」ということを考えずに,技術だ理論だ人間性だ共感だなんだを議論しても,全く空虚な話なのよね,と。

もしかしたら,相手へのよりそいかたを肌を通して意識していれば,そんなものはあとからついてくるのかなあと。

だからこその「統合的心理療法」であり,「子どもと自然」を考えることにつながるんじゃないでしょうか。

そこに気づかないでいると,人間性が~とか,受容と共感が~とか,煙ったくってかつうさんくせえ話に出してしまうんじゃないですかね。

ちゃんと読むと,怖い人たちですよ。どっちも。

それが分かっている人にとっては,お二人とも大学教員は退官されるお年ですが,決して過去の人にはならないでしょう。

「人間性」を,臨床家が備えるべき至上の要素とする人も,それを嫌う人も,その辺,分かってるんだろうかー。
既に議論はそんな次元のことではないですよ。多分。

でもって,この話はもう少しだけ続きます。

次は多分,研究編になりそうな感じ。→人気blogランキング
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*Comment

また・・・えらい時間帯の更新ですな。ぽちこタン

>どれだけ相手によりそえるか,というのが大問題であると。

文字にすると、ぽちこさんの迫力がなんだか伝わってこない
のが非常に残念です。
と、寄り添えてはおらんだろうなあと思うわたしが言っても、
説得力ないわけですが。アハハー・・・。

>次は多分,研究編になりそうな感じ。

楽しみにしてよう。ではまたよろしくです(謎)。
  • posted by moo
  • URL
  • 2006.10/06 15:57分
  • [Edit]

萌え萌えばかり言ってるのもアレなので,たまには臨床心理学徒モードに戻ってみます。

>どれだけ相手によりそえるか,というのが大問題であると。

どれだけ相手によりそえても,結局臨床で重要なのはoutcomeだと思います。よりそわれたクライエントとよりそわれなかったクライエントでどういう違いが生じるのでしょうか?

あと,村瀬先生少女時代のエピソードですが,

>このコートは再び着ない,と母親に告げます。

小生にはそんなもったいないことできません。使われなかったコートが可愛そうです。ここで,着ないという行動をとる人よりも,強い悲しみを感じながらもコートを着続ける方が萌え(あっ・・・

同じ文章でも,人によって感じ方が違ってきます。面白いものです。

  • posted by izugaeru
  • URL
  • 2006.10/06 18:19分
  • [Edit]

コメント遅れまして申し訳ありませんです。

ちょっと書いてみたら膨大になってしまったので,どっしり腰すえて,近々新しいエントリとしてうp予定です。
もう少しお待ちくださいませm(_ _)m
  • posted by ぽちこ
  • URL
  • 2006.10/09 22:10分
  • [Edit]

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