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真実は人の住む街角にある

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守ることの功罪。

私はあなたを守りたい。

とても甘い響きを持った,舌触りも耳触りもいい言葉ですね。
でも最近おいらはこの言葉にちょっとした危惧を抱いています。
誰かを守る,という行為は見方を変えれば,その「誰か」は,守られなければならないある一点においてまったくの無力である,と一方的に宣言するのと同じではないかと思うからです。

たとえばわれわれ国民一人ひとりは,他国による組織的な拉致の前にはまったく無力です。
だからこそ警察や国に頑張ってもらわねばなりません。

しかし人生においての試練や苦しみから,誰かを守れるものでしょうか?
おいらはそうは思いません。
逆に,そう思いこむのは完全なる驕りではないかと思うのです。

私があなたを守る,と誰かが宣言する時,そこには自動的に強者・弱者の関係が生まれます。
もちろん,「守るもの」=強者,「守られる者」=弱者という構図で。
そしてその宣言は同時に,「守る者」が,「守られる者」が困難を克服するチャンスを奪うことでもあります。
そして,「守られる者」が無力であるという強者からの一方的な宣言でもあるのです。
「守るもの」が意識していてもしていなくても。

そう考えると,誰かを守る,ということの裏には,強烈な支配欲が眠っている気がしてなりません。

ところで,臨床心理士資格認定試験での協会側の不手際に対し,抗議文を送ろうという動きがあるようです。
しかしその中心にいる方は今回の受験者ではなく,受験者が利用していた予備校の講師でいらっしゃるようです。
そのことに,おいらは違和感を覚えます。
当事者以外が抗議するということの妥当性の危うさもそうですが,声を上げるべき人が声を上げないことに,妙な感じを受けるわけです。

当事者の誰かがその方に頼んだんでしょうか?だとしたらいい大人が甘えすぎでしょう。自分で声を上げるべきでは?

それとも,その方が自発的に動かれたのでしょうか?だとしたら率直に言って,動いた側に「冷静さ」と「見守る力」が足りないと思います。

協会も下手やったなあ,と思いますが,「冷静さ」と「見守りながら待つ力」の欠如と「甘え」は,やはり援助者になるつもりならばある程度飼いならしておかねばならないものなのではないでしょうか。
そうでなければ,意識せずにクライエントの人生を支配してしまうという悲惨なことになるでしょうから。

おいらたちは当然ですが一人ひとりに人生があり,繰り返すようですが,誰かの代わりにその人の苦難を受けることはできないわけです。
それどころか他者の気持ちを(当事者が感じたまま正確に把握する,という意味で)「わかる」ことすらできません。
心理臨床家だろうと教育者だろうと,どの援助者はそうでしょう。

では何ができるのか。
困難の中にある人に,希望の種のヒントを提案する,あるいは,その人なりの苦難の乗り越え方知る支えになることぐらいじゃないでしょうか。
この作業を,専門知識を以って一般の方々よりは多少(←ここ大事)要領よくできる(かもしれない)のが臨床家であり広義の援助者なのでは?
そしてもしかしたら,援助者の主たる仕事は,与えることじゃなくて「待つ」ことなんじゃないでしょうかね。
だからこそ,援助者が安易に「あなたを守るよ」とは言ってはいけない,あるいは守るという行為そのものを慎むべきだという気がするんですが,いかがでしょうか。

もちろん,危急存亡の危機(たとえば生命の危機)にある人を物理的に守る手立てを講じない,なんていうのは最低ですがね。

どっちにしても,ただそれだけの話なのに,何かにつけ臨床家や援助者の人格や人間性の話になるのはちゃんちゃらおかしいと,おいらは思います。
まして,臨床家は人格的に優れていてほしい,あるいは人生経験が豊富でいてほしい,というのは,おそらくクライエントの側の希望あるいは要望でしょう。
それはおそらく,クライエントが自分を守るための,当然の要求なのではないでしょうか。

そしてだからこそ,その要求を臨床家や援助者が真に受けて,受け継いでいたらまずいわけでね。
しかしそのことのまずさを理解しない臨床家もどきが,特にネット上には多すぎるような気がします。

心理学を学んだからといって人間性が高まるわけではありません。
心理学徒は修験者じゃないんだから。

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*Comment

こんばんは~。

ちょうど、うちのブログでも、「守る」「抱え込む」ということを記事にしていたところだったんですが、ちょっと耳の痛いお話でした(^^;

>そう考えると,誰かを守る,ということの裏には,強烈な支配欲が眠っている気がしてなりません

そうですね。ぼくも、自分自身の気持ちの中で、「生徒を守りたい」という気持ちと、支配欲とが、どこかでつながっているような気がしていました。

それは、たぶん、ぼく自身の中に、「生徒を利用として安心感を得ようとしている」部分があるから・・・という気もしなくもありません。

うーーん・・・もうちょっと、ニュートラルになりたいなー(^^;
  • posted by 10月
  • URL
  • 2005.10/25 21:25分
  • [Edit]

守護という名の支配

>10月さん
実は教師のお仕事にも突っ込んで書こうかなーと思っていたので,ご来訪,ありがたいです(^^

いやあ,教師は安心できない職業ですよね。
手を出しすぎたら守りすぎてその子が体験的に学ぶ機会を奪うことになり,
逆に手を出さなすぎていたらその子がダイレクトかつムダに傷つくことになる。
この見極めはすんごい難しいと思います。
とりあえず,おいらには絶対無理です。

おいら考えるより先に手が出てしまうので,後悔&自戒しまくりですよ。
手を出したいのは,自分が手を出した方が楽だからなんだ,ということに
気がついてからは,そりゃあもう葛藤の連続です。

そんでもってこの「守りたい病」のタチの悪いところはあくまでも相手を
守りたいから動くんだ,という偽善の仮面をかぶっているところです。

「人」の「為」に「善」いと書いて偽善。
という言葉を胸に,ニュートラルにいられるよう,精進あるのみでございますよ。
  • posted by ひな
  • URL
  • 2005.10/26 01:06分
  • [Edit]

初めまして。
「守る」という言葉に反応して書き込んでしまいます。
私も同じことを考えたことがあります。
それは臨床心理の畑ではない事柄についてでしたが、
もし、あまりに論点がずれているようであったり、
強引な書き込みのように感じられるようであったらすみません…。

私は「守る」「守られる」というのが一方向だけで
その役割が与えられる場合には、
危険なことであると確かに思います。
しかし、人間と人間の関係であれば(それが臨床心理の場合であっても)、
そこには幾らかは「守る」「守られる」という関係性があることは確かなのではないかと思います。

俗に言われる「私が守ってあげなきゃ、救ってあげなきゃ」というのはもちろん論外ですが。

むしろ問題となるのは、
ある側面に関しては対象を「守る」という意識でいるけれども、
同時に対象から「守られている」という側面もあるという自覚ということなのではないか、
そう思うわけです。

自分が対象を「守る」という自覚や感覚を持たないことは、
むしろ不自然なことのように感じられます。

心理の人間がクライアントを「守る」というのはそれほど非常識的な事とは思いません。
ひなさんの言っていることとおそらくそれほどずれていないかと思いますが、
「守る」という言葉はもっとニュートラルなものだと思ったので、
書き込んでしまいました。

突然の書き込み失礼いたしました。
  • posted by じゃじゃうま
  • URL
  • 2005.10/28 21:25分
  • [Edit]

>じゃじゃうまさん
初めまして。
論点がずれるどころか,言葉足らずなおいらの書き込みを補完してくださる書き込みをありがとうございます。

おいらがここで主に書いていたのは「論外」の方の「守る」という発想&行為でして,おっしゃるとおり,それは心理臨床の場での健やかな「守る」行為とは一線を画すと思います。

そこに必要なのは,
「誰が」
「誰を」
「どのように」
「何のために」
「守っているのか」
あるいは
「守られているのか」
といった事柄に対する覚知だと思うのですよ。

そして,「守る」ことに限らず,物事には両義性が付きまとう,とおいらは考えています。
そのことをも意識の中に入れた上で,健やかに「守る」ことができたら,何かいいことがあるんじゃないかと思っているのですが…。

うーん,おいらこそ論点ズレズレかなあ;
まとまりなくてすみません。

こんなへっぽこブログですが,またいらしてやってくださいませ。
  • posted by ひな
  • URL
  • 2005.10/29 00:04分
  • [Edit]

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