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2007年11月11日 (日) | 編集 |
講師をしている専門学校で,必ず学生さんに見せることにしている映画があります。
それがこちら。

ジョゼと虎と魚たち 特別版 (初回限定生産2枚組)ジョゼと虎と魚たち 特別版 (初回限定生産2枚組)
(2004/08/06)
妻夫木聡、池脇千鶴 他

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担当は社会福祉なんですが,この分野って,理性と感性のバランスが大変に難しいように思います。
法律や支援の制度的な部分だけを伝えてもダメですし,学生さんがピンと来るようなものを提示して,興味を持ってもらわなくてはなりません。
で,ジョゼなんですね。
原作も読みましたが,こっちは何と言うか,田辺聖子節が利いていて,熟れて木から落ちる寸前の果実を食べてる気分になります。

ジョゼと虎と魚たち (角川文庫)ジョゼと虎と魚たち (角川文庫)
(1987/01)
田辺 聖子

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この子を放っておけない,この子には俺しかいない,その台詞を障害者であるジョゼに向かってはいた恒夫は,なぜ「ご立派」なひとということになるのか。
ジョゼがカーナビを消したのは何故か。
二人の恋が破綻したのは何故か。
なぜ恒夫は逃げたのか。
にもかかわらず,ラストシーンのジョゼの,疾走していく後ろ姿はなぜ,力強くりりしくはかないのか。

そんなことを学生さんたちに投げかけつつ,自分も一緒に考えるわけですが,考えをめぐらせていくうちに,文脈の作られ方に頭が行くおいら。
映画では,途中何度もネガティヴな(たぶんね)キーワードとして「福祉」っぽい言葉が上がってくるんです。
2人の若者が恋をして別れるというただそれだけの流れに,周囲の人がやたらと意味を持ち込むんですね。

ジョゼの家をバリアフリーにした時の業者さんや,恒夫をジョゼに取られた女子大生とかが。
彼らによって,ジョゼに楽をさせたくてバリアフリーを勧めた恒夫の行為は「今どき感心」なことになるし,ジョゼを放っておけない,という台詞は「ご立派な人」が吐くもの,となってしまいます。
で,恒夫も結局はその意味に負けて,逃げることになるわけですが,ジョゼは端からそれを知っている。
そこにこの物語の面白みと哀しみと切なさがあるわけで。

あ,ちなみに原作はラブホで「この世で一番エッチなこと」をしたあとらへんで終わってます。
だから二人は別れないし,業者や女子大生は出てきません。確か。
この辺は監督のオリジナルなんでしょうけど,二人の関係に意味が侵食してくる描写はリアルで秀逸です。

そうなんだよなあ,いくら文脈は個人が作るったって,他から流れ込んでくる意味にはやっぱり,抗いがたい力があるんじゃないでしょうかね。
その存在を知らなかった恒夫は号泣し,知っていたジョゼは疾駆する。
作中でのこの対比は,鮮やかです。

この二人の恋の顛末を見ていると,結局のところ,文脈ってのは,個人的なストーリーと社会的なストーリー,そして時代がある点で合流して成り立つものなんじゃ?と思えて仕方ない,秋の夜なのでした。

文脈話,まだ続く予定です→人気blogランキング
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テーマ:心理学
ジャンル:学問・文化・芸術
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